追記2! ※2018年4月11日に追記しました。関連記事:緊急!Cakewalk SONARがCakewalk by BandLabとして復活!
追記! ※2018年2月26日に追記しました。
2018年2月23日にバンドラボテクノロジーズはGibson BrandsのCakewalk Inc.の特定の資産と完全な知的財産の取得を発表しました。
2017年11月17日「Gibson Brands」によって、日本でも人気のDAWソフトCakewalk「SONAR」の今後の開発と生産を終了するという発表がありました。
僕は2001年に登場の「SONAR 1」の頃からのユーザーで、かれこれ16年もの間、メインDAWとして使用してきました。
なので、ほぼ「体の一部か?」くらいに使い込んできました。
2010年には「SONAR X1」として、大きくGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)が刷新されて、大幅な操作性の向上が図られました。
たまたま、同じくらいのタイミングで、サウンドレコーディングマガジンの「SONAR」の誌上コラムも執筆させていただく機会にも恵まれました。
そんなこんなで、長年、連れ添ってきた愛用DAWが開発終了ということで、断腸の思いです。
今現在、僕も今後のメインDAWをどうしようかと、いろいろと情報収集を重ねています。
今回は、多くのDAWソフトを比較検討した際、「SONAR」の使い心地に近いかたちで乗り換えできるDAWを絞り込んでみました。
1.SONARから他DAW乗り換え一覧
現在リリースされているDAWソフトは、どのDAWでも基本的な性能はほとんど差がなくなってきています。
DAW毎に想定したユーザーに対しての設計思想みたいなのがあって、それが使用感や操作性につながっています。
各DAWの細かい性能、使用感、使用目的などは、読者各自で詳しく比較検討していただく必要があるので、各DAWの詳細なレビューは割愛します
下に主なDAWの一覧表を作成しました。
○が多いほど高性能というわけではなく、SONARからの移行の際に「SONAR」の操作環境にどれだけ近いかという表です。
コンセプト | OMF対応 | ARA対応 | マルチタッチ対応 | クロスグレード購入 | |
Cubase | ◎ | ◯ | – | – | ◯ |
Pro tools | ◯ | ◯ | – | – | ◯ |
Digital Performer | ◎ | ◯ | – | – | ◯ |
Logic | ◎ | ◯ | – | – | – |
Studio One | ◯ | – | ◯ | ◯ | ◯ |
Ability(旧SSW) | ◎ | – | – | – | ◯ |
Live | – | – | – | – | – |
Bitwig Studio | – | – | – | ◯ | ◯ |
FL Studio | – | – | – | ◯ | ◯ |
かなりの数のDAWが存在しますね!(笑)
それでは各項目を順番に見ていきましょう。
関連記事:
2.SONARとコンセプトが近いDAW
「SONAR」はもともと「MIDIシーケンスソフト」として発展してきました。
つまり「MIDIでの打ち込み」機能の歴史が長いので、打ち込み作業の操作性において、かなり洗練されてきたと言えるでしょう。
下に「SONAR」に近いDAWを含め、タイプ別に分けてみました。
MIDIシーケンスソフトから進化してきたDAW
- Cubase
- Digital Performer
- Logic
- Ability(旧SSW)
オーディオ編集寄りで進化してきたDAW
- Pro tools
- Studio One
DJトラックメイクを意識したDAW
- Live
- FL Studio
- Bitwig Studio
ジャンルに限らず、総合的にバランスよく音楽制作できるDAWが、コンセプトとしてSONARに近いと言えます。
乗り換えても使用感、操作感で大きく戸惑ってしまうことは少ないでしょう。
関連記事:
3.OMFファイルでオーディオデータ移行
DAW乗り換えで、もっとも厄介なことのひとつが、
SONARで作ってきたプロジェクトファイルを新しいDAWへ移行すること
MIDIデータであれば、SMF(スタンダードMIDIファイル)の保存もしくはエクスポートが可能であれば、サクッと移行ができてしまいます。
基本的にオーディオデータを含めたプロジェクトファイルは、異なるDAW間では互換性がありません。
しかし、できるだけ楽したい!というのが人情。
そこで登場するのが「OMFファイル」です。
「Open Media Framework Interchange」の略。「OMFI」と呼ばれる事もある。AVID社が開発した異なるDAWシステムやビデオ編集システム間でオーディオ/ビデオ情報をやり取りするためのファイルフォーマットの事。拡張子は「.omf」が使用される。
例えばキューベースでOMFにエクスポートしソナーでインポートする、というようにしてマルチトラックのデータの移行を行う事ができる。ただし、OMFで扱う事ができるのはオーディオ(およびビデオ)トラックの情報だけであるため、MIDIの情報を交換するためには別途SMFでやり取りするなどの手順が必要となる。もちろんこの際に移行先のDAWで同じ音を出すためには両方のDAWで同等のシンセサイザーやエフェクターをアサインする必要がある。
OMF形式をサポートするDAWやビデオ編集ソフトウェアとしては、Cubase、Nuendo、SONAR、Logic、ProTools、Avid、Adobe Premiere、などがある。このように有名所のDAWの多くがOMFをサポートしており、使われている所ではそれなりに使われているファイルフォーマットであるが、一般にOMFによるデータ交換が広く行われているというほどでもなく、移行の際に互換性の問題が発生する場合もある。
引用元:OMF オーエムエフ
SONARはOMFファイルのインポート/エクスポートに対応しています。
SONARでOMFファイルをエクスポートして、OMF対応DAWでインポートすることにより、ある程度オーディオファイルがSONARのプロジェクトの状態を保ったまま移行することが可能です。
OMFファイルのインポートに対応しているDAW
- Cubase
- Pro tools
- Logic
- Digital Performer
OMFファイルに対応していないDAWへのオーディオデータ移行は手間がかかるけど、確実な方法として、
「オーディオトラックを全て1小節目頭から各トラックをバラバラでバウンスしてWAVに書き出す」
となります。
(画像はSONAR X3)
4.DAW内でMelodyneを統合して使いたい
SONARの最大の売りのひとつ、
ピッチ補正ソフト「Melodyne」を内蔵機能のように扱える!
この機能が無くなるだけでも、かなりテンション下がりますよね。。。
この操作性は、Melodyneの開発元のCelemonyとPreSonusの共同開発による「ARA(Audio Random Access)」という機能に対応していることで実現しています。
ARAに対応しているDAWソフト
- PreSonus Studio One
- Magix Samplitude
- Acoustica Mixcraft
- Tracktion Waveform
ARAに対応していないDAWでも、VSTなどのプラグインとして呼び出すことで、Melodyneを使用することができます。
プラグインとしての動作だと、SONARみたく「オーディオクリップを右クリック」で即アクセス!というわけにいかず、一度トラックをリアルタイムに再生してMelodyneに解析させる必要があります。
もちろん、ピッチ補正をMelodyneにこだわらず、各DAWに付属するピッチ補正機能を活用しても、同じような編集は可能です。
SONAR付属のMelodyneは、ライセンス管理はSONARから独立しているので、今後、他のDAWで使用することも可能です。
5.タッチディスプレイで直感的操作
SONARは王道系DAWの中では、いち早くマルチタッチ操作に対応した数少ないDAWです。
最大10ポイントのマルチタッチに対応しているので、両手の10本の指で直感的に操作ということも可能です。
マルチタッチの活用方法はマトリックスビューでライブ演奏やコンソールビューでボリュームフェーダーをリアルタイムに記録するなどが考えられます。
普段、制作ではあまり意識することが少ないですが、けっこう活用していた方は検討する勝ちがある機能のひとつです。
マルチタッチ対応DAW
- PreSonus Studio One
- Bitwig Studio
- Image Line FL Studio
こうみてみると、マルチタッチ対応は新しいDAWに多いですね。
マルチタッチに対応していないDAWでも、フィジカルコントローラーやiPadのアプリなどを導入すれば、マルチタッチに近い操作性を実現することも可能です。
6.クロスグレード版を利用してお値打ちにDAWを移行する
クロスグレードとは、既にDAWソフトを持っているユーザーに対して、割引購入できますよー、というしくみです。
定価で購入するよりも、かなり安価に購入できることがあります。
クロスグレード版を購入できるDAW
- Studio One
- Ability
- Digital Performer
- Bigwig Studio
- FL Studio
元々クロスグレードを用意していないDAWでも、たまにキャンペーンを打って、期間限定でクロスグレードを行っていることもあります。
早速、SteinbergはSONARユーザー名指しで、クロスグレードを勧めるアナウンスを行いましたね!
Cakewalk SONAR ユーザー限定 Cubase Pro クロスグレードキャンペーンのご案内
7.SONARからDAW乗り換えのまとめ
SONARから他DAWへの乗り換えについて書いてきましたが、正直、かなり迷いますね。。。
現状では、すぐにSONARが使えなくなるわけではありませんが、愛着あるDAWから他のDAWへの移行作業の労力を考えると、相当のエネルギーを必要とします。
今後のWindowsのアップデートによっては、突然SONARの起動すらできないなどの現象が起こることも考えられます。
焦りすぎず、のんびりし過ぎず、今後のDAW乗り換えへの準備はしておきたいですね。
最後に、個人的な感想として、
僕もこれまでに多くのDAWに触れる機会がありましたが、今のところ、自分の中では、
「次に乗り換えるメインDAWは「Studio One」一択かな!」
若干、MIDI編集が物足りない感じがありますが、メインDAWとしての操作性コンセプトがSONARにもっとも近いかなという印象。
Studio OneにSONARのMIDI編集能力が加われば、かなり使いやすいDAWになりそう。。。SONAR開発陣、Studio Oneに編入とかあると素晴らしいかも!
と、なんとも身勝手な想いを吐露してしまいましたが、これを機に全く新しい音楽制作環境へ、というのもアリかもしれません!
追記!CAKEWALK SONAR復活か?!
2018年2月23日にバンドラボテクノロジーズはGibson BrandsのCakewalk Inc.の特定の資産と完全な知的財産の取得を発表しました。
もしかすると、SONARの開発が継続される可能性が出てきました。
引き続き、今後の動向を要チェックですね! 速報!
なんと2018年4月4日からCakewalk by Bandlabとして無料リリースされました!
関連記事:緊急!Cakewalk SONARがCakewalk by BandLabとして復活!
人気記事: