ステップ4までが基礎になるボイストレーニングになります。
ボイストレーニングで思うようような発声コントロールが行えるようになってきたら、次は歌唱トレーニングを通じてボーカルテクニックを磨いていきます。
1.ボイストレーニングにおいて「ボーカルテクニック」とは?
ボーカルテクニックは応用テクニックとなり様々な表現技法をマスターしていきます。
歌うことは、単にメロディラインを正確に歌うことだけではありません。
歌に感情が乗っかって、そこで初めて「自己表現」となります。
歌う中に、自由な感情表現を組み込むことができたら素晴らしいですよね?
これから、代表的な表現テクニックたちを挙げていきます。
2.ボーカルテクニック「ビブラート」
ロングトーンなどで一定時間、周期的にピッチを上下に揺らすテクニックです。
一秒に6回ほど揺れるのが理想的といわれている。
ビブラートには大きく分けて、
・一音一音にかける小さな「揺らぎ」のビブラート
・ロングトーンの後でかける波の大きなビブラート
の二種類がある。
ビブラートは歌唱テクニックのひとつですが、常にすべての音にかければいいというものではなく、曲調や詞の内容、表現を考慮して、ここは必要と感じるかけるべき箇所でかけられるのがベストです。
3.ボーカルテクニック「しゃくりあげ」
本来の音程より全音もしくは半音くらい下から本来の音程に合わせたり、上がる音程を手前の音と滑らかにつなげて出す歌唱テクニックです。
メロディラインの音のつながりが自然になり、聴き心地の良い歌声になりやすい。
しかし、少なからず本来の音程をアレンジしているので、多用しすぎると逆に聴き心地が悪くなるので、その部分も考慮すべきです。
4.ボーカルテクニック「フォール」
ロングトーンの語尾もしくはフレーズの語尾で音を滑らかに下げる歌唱テクニックです。
歌いきった感じの余韻や気持ちを込めて熱唱している感じを表現できる。
洋楽のロック歌手に多く見受けられますが、J-POPで多用するひとも増えてきた気がします。
たとえば、秦基博さんやミスチルの桜井さんなど、情感をうまく表現されるボーカリストがライブでよく使っています。
あまり上手でない人が使うと、息切れしているようで、逆に苦しい印象が出るので注意が必要です。
5.ボーカルテクニック「こぶし」
音程の変わりめ、もしくはロングトーンなどで一度だけ音を揺らすテクニックです。
古くは声楽でメリスマとも呼ばれています。
下行する音程で一度上げて、また元の音程に戻すやり方が一般的ですが、上行して下げてまた元の音程に戻したり、裏声にして地声に戻したりなど、様々な種類があります。
こちらも原曲を少なからずアレンジするので、あまり多用しすぎるとふざけて歌っているようで変な感じになります。
演歌歌手でよく見かけられます。
6.ボーカルテクニック「ファルセット」
一般的には裏声と同じ意味で捉えられていることが多いですが、厳密にいえば、「声帯閉鎖の緩い、整数次倍音の極めて少ない弱い裏声域の声」で、つまりは息っぽい弱い高音域の声。
感傷的な表現では歌声として効果的だが、歌のうまくない人が使うと、「高音が力強く出せない」「歌いきれていない」「歌唱力がない」と判断されやすいです。
たしかに、発声コントロールが上手くいっていないと、必要のない力みがあることにより、不安定なファルセットを見かけます。
J-POP歌手ではミスチルの桜井さんをはじめ、スキマスイッチの大橋さん、清水翔太さんが得意としています。
7.ボーカルテクニック「がなり(うなり)」
おもに低音で声帯閉鎖をしっかりした強く硬い声で、ドスが効いていて迫力がある音質です。
スキマスイッチの大橋さん(ゴールデンタイムラバーのサビ終わり)やワンオク(完全感覚Dreamerのサビ部分)などが得意としています。
8.ボーカルテクニック「ロングトーン」
1つの音を長く伸ばすこと。
発声時の呼気量が一定でないときれいなロングトーンを作ることができない(声が震えたり、ピッチが揺れたり、息が切れる)ため、ロングトーンが上手いボーカルは歌唱力が高いと判断されやすい。
ロングトーンがしっかり出る音域は発声もしっかりしていることも多いので、しっかりとした支えを伴った発声を確認しやすい。
ロングトーンの練習には「リップロール(リップトリル)」が効果的です!
9.ボーカルテクニック「巻き舌」
ラリルレロのどれかを連発して特殊な発音をする。
ドイツ語の曲ではこれを用いる歌が結構あります。
タングトリルのやり方は舌を上あごにつけて「トゥルルルル」と発声してみる、このとき息を舌に強くぶつけ続けるつもりでやると保ちやすい。
10.ボーカルテクニック「スタッカート」
ひとつひとつの音を切るように歌うこと。
歯切れの良さやテンポ、リズムに良い印象を与えることができます。
11.ボーカルテクニック「シャウト」
裏声域で声帯閉鎖を強くし、甲高く発声すること。
発声方法を知らずに、無理やり出していると喉を傷めやすいので、ウォームアップを済ませてからトライしましょう。
The Beatlesのポール・マッカートニーなどでよく見られます。
12.ボーカルテクニック「スクリーム」
Linkin Parkの「Given Up」などで聴かれるような、デスボイスや叫び声のことです。
かなり邪悪な声の調子です。
喉を痛めないデスボイスということで、フォールスコードスクリームという発声方法が安全性が高いです。
どんな感じかというと、通常のデスボイスのイメージだと喉を強く締めて、強引に息で声帯をこじ開けて生み出すイメージが大きいです。
フォールスコードスクリームの場合、「喉を使わない」という概念が重要です。スポンサーリンク
13.ステップ5 表現 まとめ
代表的な歌唱テクニックであるボーカルテクニック例を紹介してきましたが、かなりの数ありますね!
これらを一曲の中にまぶしていくと、それは表現豊かな歌になることでしょう。
いきなり全てを取り入れることは難しいので、単体で確認してみて感覚がつかめたものから、ちょっとずつ楽曲に取り入れていくといいです。
ボーカルテクニックを練習していて、どうしてもうまくいかない場合は、大抵の場合、発声の土台である「呼吸」に問題があることがほとんどです。