呼吸は歌うことにおいて、全ての基本となります。
自分自身の呼吸時の動作、感覚を丁寧に確認して、どのような状態でも安定した呼吸をキープできるように体作りを進めていきましょう!
1.ステップ1 呼吸
「腹式呼吸を修得したからといって、歌は上手くならない」
腹式呼吸を覚えることがボイストレーニング、だと勘違いされている方が未だに多く見かけます。
腹式呼吸の修得が、ボイストレーニングの目的となってしまうと、かなりおかしなことになってしまいます。
腹式呼吸は、あくまでも「最高の歌唱パフォーマンス」のための、ベースになるものです。
音楽の基本的な要素である「音の3要素」では、
音色=サウンド
音高=ピッチ
音量=ダイナミクス
とあります。
歌うときの理想のカタチは、サウンド、ピッチ、ダイナミクスの全てのパフォーマンスが適切にコントロールされている状態です。
歌うたびにムラがある歌い手を、「上手い!」とは誰も感じないでしょう。
本当に歌が上手な歌い手は、「再現力が高い」という特徴があります。
何年か前に、友人のシンガーさんのレコーディング現場で、メジャーでも有名な歌手がボーカルディレクションしに参加してくれたときのこと。
そのメジャー歌手の方が、お手本がてら数テイクを仮歌として録音した際、どのテイクの波形もパッと見で同じ波形だったそうです。
それぐらいプロの歌手というのは、自分の歌声のコントロールスキルを磨いているんですね。
普段、無意識に行っている呼吸を、意識的に行えるように腹式呼吸をマスターすることは、歌う上で、全ての場面に関わってきます。
なぜなら、「声は息によって作られる」からです。
歌声の元となる息の取り扱い方を、しっかり理解していきましょう!
2.ボイストレーニングでの腹式呼吸と支え
俗に腹式呼吸は歌に必要と言われています。
なぜ、歌うことにとって腹式呼吸が必要なのでしょう?
腹式呼吸が歌に向いている理由は以下の通りです。
① 息を吸う際の0.5秒あたりの呼気量が多い
② 主にお腹周りしか動かないので、全身が安定し、リズムがブレにくくなる
③ アタックのある発声を促す
④ 声を共鳴させやすい
などが理由になります。
上に挙げた理由は、腹式呼吸と胸式呼吸の大きな違いでもありますが、胸式呼吸のデメリットはこれら全てを
クリアーできないという点にあります。
かといって、絶対に胸式呼吸がダメ!というわけではなく、まず、身体的に自然な発声を身につけることが重要なのです。
プロの歌手でも、胸式呼吸をメインにして表現している方もよく見かけます。
より表現の選択肢を増やす意味でも、腹式呼吸を歌の中で取り扱えるようにしておきましょう。
3.ボイストレーニングでの腹式呼吸と胸式呼吸の違い
・胸式呼吸とは(主に肋間筋など)を動かして行う呼吸
・腹式呼吸とは、一般的に胸郭を動かさないように横隔膜を使って行う呼吸
腹式呼吸と合わせてマスターしたいものが、「支え」です。
ボイストレーニングではよく用いられる用語で、正確には「息の支え」といいます。
支え=息をコントロールする力
主に下腹部から腰にかけての外腹斜筋が使われます。
更に大臀筋、中臀筋、大腿筋、腸腰筋、骨盤底筋群など、骨盤周りの筋肉の動作で呼吸のコントロールが行われます。
つまり、支えのトレーニングとは、これらの筋肉の動作をしっかりと感じることができるようになることです。
4.自宅で行う腹式呼吸・支えの強化向けボイストレーニング
・呼吸の確認(息の流れを確認する)
鼻と口の息の流れ方には9パターンある
鼻→鼻
口→口
鼻→口
口→鼻
鼻口→鼻
鼻口→口
鼻口→鼻口
鼻→鼻口
口→鼻口
・吸い止め(60秒x3セット)
①腹式呼吸で息を満タンにためる。
②吸い貯めた息を抜かないように、喉開けの状態をつくる。
③お腹の膨らみを萎ませないように60秒キープする(このとき自然と息は漏れていくものなので、そっと息を吸い足し続ける。)
・ドッグブレス(30秒x3セット)
呼気(音を立てずにハッと息を吐く)はお腹を凹ませ
吸気(音を立てずにハッと息を吸う)はお腹を膨らませる
テンポよく、一定の拍子に合わせて、交互に呼気吸気とお腹の動きを連動させる。
・337拍子息吐き(Sのスタッカート)
①前歯の隙間から鋭く「S」の音をスタッカートで息吐きを行う。
②MAX強く、粒立ちをそろえるように3・3・7拍子のリズムで行う。
④3・3・7拍子を4回を1セットして、3セット行なう
・ブレスコントロール(リップロール)
リップロール(もしくはリップトリル)は、一定に唇を震わせる動作です。
息が続く限り、無段階(ポルタメントといいます)で音高を上下させる。スポンサーリンク
5.ステップ1 呼吸 まとめ
かならずしも、「腹式呼吸をマスターしなければ歌うことができない。。」というわけなく、のどを力んで締め上げてしまうのを極力減らすためのフォームとして身につけるべきです。
自由に伸び伸びと歌うためにも、身体は自然にリラックスした状態をデフォルトの状態に持っていきましょう。
そのための呼吸トレーニングとして、認識してもらえるといいです。
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